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自分の話ばっかりします。

柳本浩市展

柳本浩市展を見に行った。

柳本浩市は様々なものを収集し、編集することで時勢を読んできた。そんな柳本浩市をアーカイブをする人「アーキヴィスト」と捉え、収集物を展示する事で、柳本浩市の収集と編集の流儀をおすそわけしてもらおうという展示だ。

 

情報氾濫社会の中で一番必要な資質は、情報を取捨選択し、自分にとって価値ある情報を体系だてる能力だ。

大学に入ってから知った言葉の中にキュレーションがある。キュレーションとはアートの分野でよく使われる言葉で、私の理解では膨大な情報を今までになかった視点から編集し直す事によって、情報に新しい価値を与える仕事を指す言葉だ。柿本浩市が言う所のアーカイブとよく似ていると思う。私は大学で少しキュレーションについて齧っている。せっかく大学でキュレーションを学んでいるんだから、アーキヴィスト柳本浩市の流儀についても是非知りたい、という気持ちでわりと真面目に展示物を見ていた。

 

私がこのブログを始めた理由もそうだけど、物事にはインプットとアウトプットがあって、インプットとアウトプットの間にどれくらい自分の目線やオリジナリティを通せるかが制作上の勝負どころだ。だから、アート作品に限らず、何かを作るときにインプットと編集の手法を考える事はとっても有意義で成果物の出来を左右する事だと思う。

展示では、柳本浩市の膨大な収集物の他にも丁寧な保存方法やそれをまとめる方法について触れられていた。私が印象に残ったのは洋服のまとめ方だ。ジャケットを収集するとき、柳本さんはジャケットの説明とともにスケッチを描く。その緻密さや根気強さが価値あるアーカイブの秘訣なんだろうと思う。

 

会場に流れていた「アーカイブ個人収集論」という授業の記録映像の中で、柳本さんは膨大な情報を編集することで時勢を読む事を説いている。

人間の性質は大きく分けて理性と感情の二つがあるらしい。理性的な物が流行すると、コンクリート打ちっ放しみたいな無機質な建造物が流行ったりするし、感情的な物が流行すると定年後に農業をやるのが流行るらしい。理性と感情の波は交互にやってくるから、今どんな波が来ているのかを収集を通じて把握する事で、少し先の未来にどんな性質のものが流行るのかがわかるそうだ。すべての分野にその波はあり、分野ごとに次にくる波を予想する事によって、社会全体の未来がわかるようになるという。すごい処理能力だと思った。

未来を読めるほど多くの情報を処理できるのは限られた天才だけだ。でも、天才の根気強さを真似る事で、少しでも良いインプット・編集が可能になるかもしれない。私も、この人を見習ってもっと根気強く丁寧に情報を扱おうと心に決めた。とっても現実的で即物的な、ビジネス書のような展示だった。

 

柳本浩市の展示は決して情緒に訴えかける物ではなかったが、勉強しなくちゃいけない、頑張らなくちゃいけないという気持ちにさせられた。私は収集癖がある訳ではないので柳本さんと全く同じ方法でアーカイブを作るのは無理だろう。でも、私にもできるやり方を見つける事ができればいいなあと思った。

頑張ります。